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ところで、買い物って好きですか?【第4回】取り巻かれる歓び、浸れる買物

  • 2019/07/02 15:40
  • カテゴリー:買い物

ところで、買い物って好きですか?

【第4回】取り巻かれる歓び、浸れる買物

本間理恵子

 「Alexa、クラッカー買って!」てな具合に、AIスピーカーに声をかけるだけで買物が完了する今どきですが、この買い方は、時間も手間も最小限に抑え、その時々に必要なものを手に入れる買物行動。明らかに「調達」です。

 使いつけのトイレットペーパー、洗剤、掃除用具や、定期的に使用する調味料や食材などなど……。これらをしっかりと在庫の過不足なく管理するいわゆる「家事」という業務は、たぶん皆様のお宅でも奥様が担っているのではないかと思います。

 買物好きかつ主婦代表として私は言いたい。「これらの買物には手間も時間もかけたくない!」。できればただでさえ狭い家のスペースを買い溜めでつぶしたくない。

 あと少しでなくなりそうなタイミングで商品が到着すれば、セブンイレブンの在庫管理さながら、効率マックスな日用品および食料の在庫管理を実現させることができます。商品の配送間隔を適宜調整し、なくなりそうなタイミングで商品を配送してもらえるAmazon の定期購入は、優秀な「調達」サポートツールかつ主婦の家事軽減ツールなのです。

 さて、浮いた時間で何をするか? お買物好きは、どっぷり浸れる買物に向かうのです。今回は「取り巻かれる歓び・浸れる幸せ」なショッピングを……。

 やれVRだ、やれARだと騒がしい昨今ですが、「リア充」という言葉の登場からもわかるように、現実が一番。商品たちに取り巻かれることでそのエネルギーを全身に浴び、その香りを満喫する。ピンと来た商品を手に取り、じっくりと眺めまわし、その商品の生い立ちに思いを馳せる。買って帰って何しようかと想像と妄想をめぐらす歓びに浸れるのが、ショッピングの魅力です。

 私が若かりし頃は、パソコンのゲームソフトは大きめの箱に入って、電器屋さんやゲームソフト屋さんの棚にぎっしり詰め込まれていました。そこに行っては、海外のゲームソフトの箱から漂う異国の香りをクンクンしたり、箱のデザインに感動したり……。当たるも八卦、当たらぬも八卦でジャケ買いをしていた昔を懐かしく思い

出します。

 話がそれましたが、ちょっと珍しく、ちょっとおしゃれな食の世界観にどっぷり浸れるのが、言わずと知れた「カルディコーヒーファーム」でしょう。入口で渡された小さなカップに入ったコーヒーをすすりながら、コーヒーの香りとともに店内を物色。うずたかく積まれたお菓子や、天井にまで届きそうな棚にぎっしりと詰め込まれた異国の調味料や食材を物色するも、片手がコーヒーでふさがっているため、しばらくは店内をうろつき、めぼしい品に目をつける作業に徹することになります。コーヒーを飲み終わるとゲットタイム到来。「アレとコレ……あ、コレもおいしそう」

 滞留時間が長ければ購買金額も増すのは定石。カルディコーヒーファームは1986年に1号店をオープンしたとのことですが、私が初めて出会ったのは2007年あたり。オリジナル商品のラインナップも増え、元気なショップスタッフの声が響き、いつ行っても何かしら発見ができます。そんなリアルショップならではの魅力ゆえ、

17年には400店舗を突破したそうです。

 商品に取り巻かれる歓びと、ごくごく狭い興味領域=オタク的深みに落ちる幸せを味わえるのが、02年に拙著『買物脳』でも取り上げ、今もなお、リアルショップならではの魅力を湛え続ける「ヴィレッジヴァンガード」。迷路のような店内で迷子になる危機に陥りながら、本とグッズたちとの偶然の出会いを楽しめる「遊べる本屋」です。

 ヴィレヴァンの商品構成は簡単に言えば「書籍およびそれにまつわる商品の関連陳列」なのですが、あくまでも現場重視がヴィレヴァン流。スタッフが違えば伝えたいことも違います。POPから漂うスタッフのキャラと出会い、スタッフおススメの一言で、自分では全く興味を持っていなかった一冊に手をだしてしまう。予想外の結末はリアルショップならではの魅力です。

 

ほんま・りえこ
博報堂勤務を経て、マーケティング・プランナーとして活躍中。著書に『買物脳|成功する企業になるための5つのキーワード』(主婦の友社)。

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