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寒冷地のエネルギー

通信を利用した残量監視システム
灯油切れゼロのロードヒーティングを実現

 雪国での暮らしの苦労は、なん といっても「雪かき」。この除雪の 悩みを解決してくれるのがロード ヒーティングだ、ロードヒーティン グは、その言葉通り、路面の温度を上げること。センサーなどで降雪を感知し、道路の融雪や凍結を防止する設備。熱源には灯油や電気などが用いられている。

 

雪国の暮らしに欠かせない安心・安全のシステム

 ロードヒーティングの基本的なしくみは、車道や歩道の舗装内に電熱 線や温水を循環させるパイプを埋設し路面を加熱するというもの。車両 用道路だけではなく、バリアフリー対策も目的に市街地の歩道にも設置されることもある。また、高速道路では安全の観点から、凍結防止のために寒冷地以外でもトンネルの出口 や橋梁などに設置されているところもある。

 除雪の苦労をなくし、安全を確保する便利なロードヒーティングは、今や雪国の暮らしに欠かせないものとなっているが、かつては施工費や燃費の面で、そのコスト高が普及の妨げになることもあった。温水を循 環させる場合の熱源の大半は、灯油などを燃料とした温水ボイラーを用 いるからだ。

 しかし近年は、清掃工場の余熱や ヒートポンプ、他の廃熱を利用する ものも増え、さらに風力発電、水力 発電、地中熱利用など自然エネルギ ーを利用したものも登場している。 

  北海道・札幌市など寒冷で積雪の多い都市部では、住宅前や駐車場のロードヒーティングも一般的で、そのほとんどは灯油を熱源としている。住宅の各戸ごとに灯油タンクを設置し、灯油ローリー車で給油するシステムだが、当然、寒暖によって灯油 の消費量は変動する。寒冷地で灯油を供給する燃料会社は、顧客からの注文による配送ではなく、各戸ごとに通年の使用状況や寒暖などから使用量を予測し、定期的な補給配送を行うところが大半だ。

 

ロードヒーティングの 普及で灯油切れ増 !?

 ところが最近、都市部での灯油切れの問題が増えているという。主な原因として考えられているのが、灯油配送の人手や配送予測する熟練オペレーターの不足。不慣れな担当者により配送のタイミングがわからず灯油切れを起こすことになる。

 そしてもう1つの意外な要因が、ロードヒーティングの普及だ。ロードヒーティングが普及し、寒暖だけでなく降雪の有無も配送予測に反映しなければならなくなったことが、灯油切れの一因だという。降雪は温 度に比べて地域内でのばらつきが大きく、よりきめ細かな情報収集と予 測が必要なのである。

 降雪の有無が影響するようになったのは、ロードヒーティングのしくみが進歩し、路面状況を感知して自動運転を行うようになってきたからだ。雪が降り始めると、積もる前に自動的に灯油を燃やし始める。無駄なようではあるが、積もって凍ってしまった状態で稼働させるより効率的で、トータルでの燃費は軽減される。しかし、それが配送の予測を立てにくくし、灯油切れを生じやすくするわけだ。

 

365日24時間監視 灯油代低廉化にも貢献

 そこで登場したのが、通信利用の灯油残量監視システムだ。このシステムは灯油タンクの底面に圧力で反応する残量検知センサーを付け、さらにセンサーとPHS(無線通信回線)をつなぎ、あらかじめ設定しておいた残量になったら燃料会社側で警報を受けるというもの。灯油切れをなくすだけでなく、燃料業者側の灯油ローリー配車の効率化にもつながっている。

 札幌市を中心に約2万件にガス・灯油を供給する小野寺燃料(小野寺昌顕社長)では、このシステムを屋外の大型施設まわりや駐車場に設置し、灯油切れ防止に役立てている。システム設置先のタンクの灯油残量を10%、20%、30%の3段階で設定し、365日24時間監視。設定残量を下回ると緊急通報が発信され、ローリーを配車する。

 主に導入されているのは高級車の多いマンション駐車場など。大手管理会社からの要請で急遽取り付けられたところもある。開通試験まで1時間程度で施工が完了することから、既設の駐車場等での後付け設置も容

易だという。

 ローリー配送の効率化は料金低廉化にもつながるため、小野寺燃料では今後も、同社供給エリアである市内全域はもちろん、江別、北広島、石狩、当別、小樽銭函までの大型施設を中心に同システムを普及させていきたい考えだ。

 

取材協力・小野寺燃料

 

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